ワシは基本、猫である。オトンがどこで何を食おうが知ったこっちゃない……はずやったんやが、今回ばかりは黙っとられへん。南阿蘇は高森いう町に、とんでもない飯処があるらしい。名前は「高森田楽の里」。もう聞いただけで美味そうな響きしとるやろ。
まず驚いたんが、この店、囲炉裏(いろり)を囲んで飯を食う形式やっちゅうことや。囲炉裏いうても最近のなんちゃってオシャレ囲炉裏やない。築200年超えの茅葺き屋根の古民家に、ほんまもんの炭火が組んであって、灰の中からじわりじわりと熱を持った炭が赤く光っとる。この写真だけでも、なんや体温上がってきそうな迫力があるわ。
囲炉裏の熱で調理する、いうのがこの店の真骨頂やそうな。手元の炭を熾して、そこに串を刺した食材をぐるっと立てかけて、じっくり焼き上げていく。ワシは火の熱さは苦手やけど、この赤い炭の色だけはずっと見てられるくらい綺麗やった。

炭の上に金属の焼き網を渡して、まずは網焼きゾーンの準備。奥にはやかんも置いてあって、お湯も沸かしとる。効率よう火を使い回しとるあたり、長年この形式でやってきた店の手際の良さを感じるで。網の下でパチパチ爆ぜる炭の音、写真からでも聞こえてきそうやったわ。

ほんでこれや。串に刺さった魚(ヤマメか川魚系やろな)、それとこんにゃくの団子が縦に3つ刺さったやつ、そして豆腐。これを囲炉裏の炭火の周りにぐるっと突き刺して、じっくり火を通していく。「田楽」いうんは、この味噌を塗って炙り焼きにする調理法のことを指すらしい。高森に古くから伝わる郷土料理やそうで、串は1本から頼めるいうのも、気軽に色々味見できてありがたいシステムやな。
魚は皮がパリッと焼けて、うっすら塩の結晶が浮いとるのが分かる。こんにゃくと豆腐は、あの独特のこんがりした焼き目と、じんわり染み込む味噌の香ばしさが、写真越しでも伝わってくるようや。囲炉裏で炙るいう工程自体が、もうご馳走の一部なんやろな。

そしてこれが完成形。がっつり塩をまとった魚が、串から下ろされて皿の上に鎮座しとる。皮目はパリッと香ばしそうに焼き色がついとって、身もふっくらしとるんが分かる。脇には副菜も添えられとって、田楽定食のセットらしい豪華さやった。
正直、ワシは魚を見ると本能的にビビッと反応してまう性質やから、この写真を見た瞬間、しばらく画面から目が離せんかった。囲炉裏の炭火でじっくり炙られた魚の匂いって、絶対うまい匂いしてるはずやねん。写真だけでこれやから、実際にその場におったオトンは、匂いと音と熱気の三重奏を全身で浴びとったはずや。
囲炉裏を囲んで、炭が爆ぜる音を聞きながら、じっくり焼き上がるのを待つ時間。これはもう、ただの食事やのうて、体験そのものやな。高森いう場所の郷土料理と、200年の歴史ある建物の空気感が合わさって、写真だけでもえらい説得力があったで。
もう美味すぎて旨すぎて、って言葉が出るんも納得や。ワシも今度生まれ変わったら、囲炉裏の前で丸くなりたいもんやで。
高森田楽の里 熊本県阿蘇郡高森町大字高森2685-2


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