古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスは「万物は流転する」と言うたらしいが、ワシに言わせれば「万物は、薪ストーブ一つでどうにでもなる」。兵庫県は丹波篠山、杉林の中で行われたこの日のキャンプは、まさにその法則を証明する現場やった。
ワシは基本、猫である。暖かい場所には目がない。こたつ、日向、乾燥機から出したばかりの洗濯物……ありとあらゆる熱源に吸い寄せられる習性を持っとる。せやから今回、オトンが薪ストーブなるものをテントに導入したと聞いて、ワシの尻尾はもう期待でピンと立っとった。
舞台は丹波篠山、杉の森の中

まず、この日の舞台からして雰囲気満点や。真っ直ぐ天に伸びる杉の木々が、まるで自然が作った柱のように整然と並んどる。木漏れ日がテントの生地にまだら模様を落として、地面には枯れ葉と細い薪が散らばっとる。都会の喧騒とは無縁の、静けさだけがそこにあった。
テントはドーム型で、これがまた今回が初のデビューやったらしい。頂点からポールがピンと突き出て、まるで小さな塔でも建っとるみたいや。中を覗くと、寝袋やクッションがふかふかに敷き詰められて、すでに「くつろぎ準備完了」の空気を醸し出しとった。
そして主役、薪ストーブの初点火

さあ、ここからが本番や。夜の帳が下りて、あたりが真っ暗になった頃、薪ストーブに火が入った。小窓越しに見える炎の揺らめきは、もう芸術品の域や。フランスの哲学者ガストン・バシュラールは「炎を見つめることは、瞑想の始まりである」的なことを言うとったらしいが(詳細な出典はワシも定かやない、猫の記憶力には限界がある)、まさにその言葉通りの光景がそこにあった。
薪が爆ぜる音、窓越しに漏れる橙色の光、そしてじわじわと満ちていく暖かさ。これがテントという限られた空間の中で起こるいうんやから、恐ろしい発明品や。人類は火を手に入れたことで文明を築いたらしいが、キャンパーは薪ストーブを手に入れたことで「冬キャンプの常識」を覆したんちゃうかとワシは睨んどる。
テントの中は、まさかの常夏の島

そしてここからが今回一番伝えたかった衝撃の事実や。外は3月の丹波篠山、まだまだ肌寒い季節のはずやった。せやのに、薪ストーブに火が入った途端、テントの中は一変。もうね、常夏の島状態。半袖でもおかしないくらいの熱気が充満しとったらしい。
古代ローマの哲学者セネカは「寒さを制する者は、快適さを制する」と言うたとか言わんとか(これもワシの記憶が正しいかは怪しいが、雰囲気で信じてほしい)。とにかく、外の気温と内部の体感温度のギャップがすごすぎて、オトンも上着を脱ぐ羽目になったそうな。
薪ストーブ1台でここまで空間の温度を変えてしまうんやから、これはもう「小さな太陽をテントに持ち込んだ」と言っても過言やないんちゃうか。冬キャンプの寒さ対策に頭を悩ませとる人がおったら、この常夏現象、ぜひ一度体験してみてほしいくらいの破壊力やった。
まとめ:炎の力、恐るべし
杉林の静けさ、初デビューのドームテント、そして常夏を作り出した薪ストーブ。丹波篠山でのこの夜は、「暖」というものの概念をワシに再認識させる出来事やった。
「人は火を囲むことで、初めて仲間になった」――これは誰の言葉か忘れたが(というか捏造してる説が濃厚やが)、少なくとも今回のキャンプでは、その炎の力を存分に思い知らされたわ。
ワシはといえば、薪ストーブがあろうがなかろうが、結局家のこたつが一番や思うとる派やけど、この常夏エピソードだけは、さすがに一度この目で確かめてみたい思わされたで。


コメント