「計画とは、変更されるためにある」とは、かの発明王エジソンが言ったとか言わなかったとか(正直、出典は自分も怪しいと思っている)。この日ばかりは、その言葉を身をもって体感することになった。
目的地は兵庫県にある「はちまき展望台」。事前情報では特に問題なく登れるはずやったんやが、山道に足を踏み入れてすぐ、まだしっかり雪が残っとることに気づいた。
予定変更、山道脇でキャンプに切り替え

見てくれこの残雪具合。春とはいえ、山の上はまだまだ冬の名残がしっかり居座っとった。展望台まで一気に登り切るつもりやったんやが、この雪の量を見て即座に計画変更。「無理せず、行けるとこまで」というのが登山・キャンプにおける鉄則やから、今回は潔く山道脇で幕営することにした。
古代ローマの軍略家いわく「撤退もまた戦略のうちである」らしい(これも正確な出典は自分の記憶頼りなので、話半分に聞いてほしい)。目的地に辿り着けんかったことより、無理をせず判断を切り替えられたことの方が、今回は収穫やったと思う。
想定外の来客、雪にスタックした老夫婦

さて、テントを設営しとる真っ最中のことやった。同じく展望台を目指しとったらしい老夫婦が、残雪に阻まれて山道でスタックし、身動きが取れんようになっとるのに気づいた。
滑って動けん、引き返そうにも足場が悪い、という状況で、正直かなり困っておられる様子やった。ここで役に立ったのが、たまたま持ち合わせとった登山・キャンプ用の道具や。滑り止め代わりになる小物や、足場を作るための道具、それに補助的なロープワークなんかを駆使して、なんとか無事に安全な場所まで誘導することができた。
古代中国の思想家いわく「備えあれば憂いなし」。まさかこの言葉を、まさかこんな山道の真ん中で実感する日が来るとは思わんかった。趣味のために担いできた道具が、まさか人助けの場面で本領発揮するとは、人生というのは分からんもんや。老夫婦にも大変感謝されて、なんとも言えん達成感があった一幕やった。
一連の騒動のあとは、ご褒美の鍋

予定外の展開に振り回された一日やったが、最後はちゃんとご褒美が待っとった。焚き火の網の上で、ネギと白菜たっぷりの鍋がぐつぐつ煮え立っとる。救出劇のあとの一杯は、いつも以上に沁みるもんがあった。
寒空の下、湯気を立てる鍋を眺めながら、「人間、予定通りにいかんことの方が多いけど、それはそれで悪くない」なんてことを考えとった。計画が崩れたおかげで、思いがけず人の役に立てて、思いがけずゆっくり鍋を煮る時間ができた。これはこれで、悪くない一日の締め方やったと思う。

〆の一品として持参しとったのが、日本海産のほたるいかを使ったおつまみ。化学調味料・保存料不使用、能登伝統の魚醤油で味付けされた一品で、これがまた鍋のあとの一杯によく合う。予定外づくしの一日の最後に、こういうちょっとした美味いものがあると、それだけで報われた気持ちになるから不思議なもんや。
まとめ:登山・キャンプ道具は、時に人助けの道具にもなる
今回改めて実感したのは、日頃趣味で担いでいる登山・キャンプ道具というのは、いざという時に自分以外の誰かを助ける力も持っとる、いうことや。
展望台には辿り着けんかったけど、残雪の判断、予期せぬ救出劇、そして焚き火の鍋。振り返ってみれば、当初の計画よりよっぽど記憶に残る一日になった。「計画通りにいかないことこそ、人生の醍醐味である」――誰の言葉かは、もはやどうでもよくなってきた。とにかく、そういう一日やった。


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